こんにちは。
今回は、「逆のイメージを持った要素を入れ込む」という話をします。
以前、「笑いを起こすには意外性が必要だ」という話をしました。
人は、何かあるものについて考えている時、無意識に、そこから簡単に連想される、イメージ的に近いもののことばかり頭に浮かんでしまいます。
枠組みにとらわれてしまうわけですね。
意外性を出すためには、その枠組みを打破する必要があるので、しりとりで意味的なつながりを無視してみたり、そもそもお題を見る前から自分の中に面白要素を準備しておくといった方法があるのでした。
今回お話するのは、その「意外性」の例の一つです。
「こんなことが言えれば、意外性が出せるよ〜。」というものです。
それをどうやって言うか、という疑問については、結局、しりとりだとか、事前に自分の中に要素を持っておくだとか、周囲を見渡して発想のタネを探すとか、また別途方法論が必要になります。
逆のイメージって?
単に対義語を持ってくる、ということではありません。
噛み合わないイメージを持ったものを、回答に入れ込む、ということです。
具体例でガンガン見ていった方が伝わると思うので、実際に大喜利道場にあった回答を見ていきましょう。
回答例
こんなクラシックコンサートは嫌だ
うちは今年喪中なのに、第九を演奏される
前回の記事でも登場した回答ですが、早速の再登場です。
これが一番わかり易いので、再び出てきてもらいました。
「クラシックコンサート」と「喪中」が逆イメージの関係にあたります。
これ別に、対義語ではないですよね。
ただ、クラシックコンサートはなんとなく明るい、ポジティブなイメージがあるのに対し、喪中はなんとなく暗い、ネガティブなイメージがあります。
結果として、クラシックコンサートのことを考えている時に、「喪中」はなかなか頭に浮かんでこないわけですね。
ですから、クラシックコンサートのお題が出ている状態で、お客さんの頭の中に浮かんでいない「喪中」をぶつけることで、意外性を出し、笑いに繋げることが出来るんです。
次の回答も見てみましょう。
こんなクラシックコンサートは嫌だ
夢破れた音楽家たちが最後に一花咲かせようと頑張っているが、残念なことに全員が悪目立ちしている
これも逆のイメージを入れ込む例です。
クラシックコンサートの荘厳で統一感のある感じと、
それぞれが勝手に動くことで全体として悪くなるというチームワークの出来てないスポーツチームや社会人組織みたいな感じが
相容れないイメージを持っているわけです。
まあ実際には音楽家一人ひとりにもいろんな思いがあるでしょうから、それぞれ個人が頑張って、結果悪目立ちして怒られるみたいなことはあるんでしょうが
特に音楽に関わっていない一般人がクラシックコンサートの事を考えた時には、そこまで思い至りませんから、そこまで考慮しなくても大丈夫です。
旅行のお土産としてもらった、いらないもの
甲子園見に行った旅行のお土産なんですけど、甲子園の土と甲子園の破片と甲子園の便器
甲子園という、スポーツの熱いイメージに対し、便器という日常かつ汚いイメージが、相反しています。
甲子園のことを考えている時に便器のことを考えている人などいないわけです。
ただ、よくよく考えれば当然、甲子園にも便器はあるので、変な説得力があります。
すごい回答ですね。
ハロウィンパーティーで見かけた、一番やばい仮装
みゃご(ゴミの可愛いキャラクター)
はい。
これは、ハロウィンパーティーや「可愛いキャラクター」というファンシーなイメージに対して、「ゴミ」という最も汚い、誰も好まないイメージが完全に相反しています。
それを、あたかも存在するかのように「ゴミの可愛いキャラクター」と言い切っている所が良いですね。
ゴミをどういう風にして可愛いキャラクターに仕立て上げているのかについてはあえて言及していません。
言葉の上だけで言い切って、相反するイメージを一つの回答上に存在させるわけです。
前回紹介した「絵面を想像させる」とは、ある意味で真逆の手法と言えますね。
また、この回答には「みゃご」という、「ゴミ」と「可愛い」をうまく両立させた名前が登場します。
回答者のセンスが光っていますね。これがあることで「ゴミと可愛いを両立させたんだぞ」という説得力が格段に増しています。
こんなドラえもんは嫌だ
過去の栄光にすがりつき悪い面を改善しようとしなかった結果家族全員から信用を失い奥多摩で投げ捨てられた
確かにこんなドラえもんは嫌ですね。
これは、ドラえもんの明るい子供向けのイメージと、リアルな暗い現実のイメージが相反しています。
ドラえもんが頭にある時の明るい雰囲気を、暗い回答でぶち壊してるわけですね。まさに意外性です。
リアルさを出すための表現も良いです。「過去の栄光に〜改善しようとしなかった」という、子供向けファンタジーから遠く離れた現実的な内容や、「奥多摩」という実際の地名を使っているのがポイントですね。
それから、「ドラえもんを投げ捨てる」という、嫌な絵面を想像させる効果もあります。
やはりこちらも、すごい回答です。
練習用お題
ということで、今回も練習用お題を用意しました。
お題の時点でわりと特徴的なイメージがありますから、
それを打ち破るように意識してみてください。
また、プロの大喜利を見てみることも大いに参考になりますよ。
Posted by 岡竜之介