今回は「回答者本人の価値観が歪んでいる」というパターンの回答について、説明したいと思います。
この連載では、回答のひねり方をずっと解説しているわけなのですが、段々とそのひねり具合が強くなってきましたね。
回答者本人がおかしい回答の作り方
例えば、こういうお題があったとしましょう。
こんなマイホームは嫌だ
当然、まずはマイホーム要素を色々考えることになります。
何階建てか、屋根・壁などの構造、材質、色、場所、部屋、周りの住人、地域のルール、購入の動機、値段、何歳で買うのか、家族、……
まあ、色々あります。
普通ならここで、素直に「嫌なマイホーム」を考えることになります。
10000階建てだ、とか、全面クリアパーツでできている、とか、家賃が相場の5%引きだが霊園の真ん中にある上に前の住人が3連続で自殺している、とか。
これらは基本的には、誰にとっても「嫌なマイホーム」ですね。
ですが今回はここで、「価値観が歪んだヤバいやつ」の立場に立ってみましょう。
すると、次のような回答ができます。
女子校の隣じゃない
「それを『嫌だ』と思っている事自体がおかしい」というわけです。
メタな回答と言えるかもしれませんね。
回答者本人が『女子校の隣にしか住みたくないヤバイ奴』を演じているわけです。
ちなみに、ヤバい奴とまでいかなくとも、「個人的な事情が特殊な奴」くらいでも回答が作れます。
こんなマイホームは嫌だ
地下防音室もミキシングルームもない
一般的な「嫌なマイホーム」を聞かれているはずなのに、音楽関係者限定の「嫌なマイホーム」を答えているわけです。
「音楽関係者か!」みたいなツッコミが想定されますね。
もう一つみてみましょう。
紅葉を見に行って大失敗!何があった?
桜と比べて、もみじはおいしくなかった。
食べに来てるわけですね。ヤバイですね。
さらに、「桜も食べたのかよ」という情報と、「桜はおいしかったのかよ」という情報が乗っかっています。
お客さんに気付かせて笑ってもらうための要素です。
ツッコミで指摘してもらっても良いですね。
回答例
それでは今回も、大喜利道場に投稿された実際の投稿で確認していきましょう。
こんなクラシックコンサートは嫌だ
うちは今年喪中なのに、第九を演奏される
はい。回答者本人がおかしい回答です。
別に喪中なこと自体はおかしくないのですが、
喪中は第九を聴いてはいけないと考えているのがおかしいです。
そんな風習はないですからね。喪中を意識しすぎなのか、第九を神聖化しすぎなのか。
そしてもちろん、一番おかしいのは、わざわざクラシックコンサートに来ておいて、自分だけの理由で第九の演奏に対して文句を言っている所です。
来なきゃいいんだから。
ねえ。
来なきゃいいんだから。
完全に、回答者本人がおかしいですね。
次いきます。
旅行のお土産としてもらった、いらないもの
土産話
短い回答です。
まあ、今回の場合、「おかしい」とまでは言い切れないかもしれません。
それでも、せっかく旅行の様子を話してくれているのに「いらないもの」としてその話自体を挙げているあたり、回答者本人に「ひどさ」があります。
この回答は他にも
「あるある」とか「上手いこと言っている」とか、いろんなテクニックがのっかってます。
「別に土産話なんか聞きたくない」というのはある程度よくある話でしょうし、
お題の「お土産」と「土産」の部分をかけてうまいこと言っています。
短くも、濃い回答ですね。
次いきます。
こんなドラえもんは嫌だ
積極的にセミナーや講演会に出掛け異業種の人との人脈を作るし、それを暗に自慢する
はい。これも、歪んだ回答者を演じているものです。
何故なら、そもそも、「積極的にセミナーや講演会に出掛け異業種の人との人脈を作る」は、良いことですからね。
これを「嫌」なものとして挙げているわけです。歪んでますね。
それと同時に、こういう人を「嫌」と見る見方をする人は案外いるものですので
「あるある」として共感を取りに行っている、という意味合いもあります。
その点は、先の「お土産」と共通するところがありますね。
練習用お題
それでは、今回も練習用のお題にまいりましょう。
シンプルに『嫌だ』お題です。
普通に嫌なものを考えるのではなく、「こんなことを嫌がっている人はおかしい」という人になりきってみましょう。
また、プロの大喜利を見てみることも大いに参考になりますよ。
Posted by 岡竜之介