今回は「回答を強化する」という話をしたいと思います。
ぱっと思いついた回答がそのままで面白いこともありますが、
多くの場合は、思いついた回答を「タネ」にして、強化することになります。
強化するとはどういうことでしょうか。
例をあげてみていくことにしましょう。
例えば
遊園地に遊びに行ってびっくり!何があった?
というお題があったとしましょう。
タネを思いつく
まずは遊園地にどんな要素が含まれるか考えます。
・観覧車
・ジェットコースター
・デートで行く
・家族で行く
・ヒーローショー
・入場料
・パスポート
・値段の高い飲食店
・女子トイレが混む
・パレード
などなど。いくらでもあります。
さらにここに、遊園地から離れた要素として「イカ」を持ってきたとしましょう。
そうして思いついた回答がこちらです。
イカパレードがある。
なるほど、確かに、びっくりだし、お客さんは誰も思いついてないだろうし、回答として成立してます。
でもですよ。
これをもっと強化できるんです。
やってみましょう。
更に何か足せないか考える
せっかく「イカパレード」などというわけのわからないことを思いついたので、これが活きるように考えてみます
イカパレードの要素を考えてみましょう
いや、もちろんそんなものはありませんから、想像するんですよ。
ここでは、墨を吹くという要素を思いついたとしましょうか。
足してみましょう。
イカパレードがあり、墨を吹いている。
回答が強化されました。
言い回しを変えてみる
まだいきましょう。
「墨を吹き散らかす」と言ってみると、悲惨な光景が思い浮かんで面白くなりそうです。
イカパレードがあり、墨を吹き散らかしている。
となりました。
単にイカパレードがある、とするより、かなり良くなりました。
これが強化です。
こんな感じで、思いついた回答をタネにして、それに言葉を加えたり、言い回しをより良いものに変えることで、全体としてのクオリティを上げていく、ということです。
この作業を頭の中で一度でもするか、しないかによって、回答のクオリティがかなり変わってきます。
回答例
それではここからは、当サイトに実際にあった投稿を見ていくことにしましょう。
今回も、回答者様が本当にここで解説するような思考プロセスを辿ったかどうかはわかりませんが、
「この回答を思いつくには、例えばこう考えればいい。」という感覚で見てください。
ではいきましょう。
ある高校で一番美女の結衣ちゃんがまったくモテない理由とは
眼鏡を外すと美人というタイプの女なのだが、常に眼鏡を100個かけている
おそらくはじめに思いついたのは、「眼鏡を外すと美人」というあるあるでしょう。
もちろんこのあるあるはベタです。よく扱われる題材です。現実によくいるかどうかは別として。
でも「眼鏡を外すと美人」は、モテる理由にはなっても、モテない理由になりませんから、お題に合うように変形する必要があります。
そこで
眼鏡を外すと美人なのだが、メガネを外さない
となります。
一応、回答としては成立しています。
でも、これをもっと強くしましょう。
ということで
眼鏡を外すと美人というタイプの女なのだが、常に眼鏡を100個かけている
にたどり着きます。
眼鏡を100個かけるというのはまず不可能ですし
結衣ちゃん本人がそこまでしてブス側に振り切る意図がわかりません。
さらにこの回答、すごいのは、
「常に眼鏡を100個かけている(せいで、メチャクチャブスになってしまっている)」という含みがあるのですが
この含みには、「眼鏡をかければかけるほどブスになる」という前提があります。
でも「眼鏡をかければかけるほどブスになる」という設定は存在しませんから
この意味で、回答者本人のおかしさが回答にあらわれているわけです。
すごい回答ですね。
一つの例の解説が長くなってしまいました。どんどんいきましょう。
オープンして3日で潰れた温泉旅館なぜ?
旅館の前で全裸で踊り狂うゾンビをどうしても排除できなかった
おそらく最初にタネとしてあったのは、「旅館の前にゾンビがいた」でしょう。
これに「踊る」を足し「踊り狂う」に強化して、さらにゾンビを全裸にして
「旅館の前に全裸で踊り狂うゾンビがいた」となってバカっぽさを格段に増し、
さらに「どうしても排除できなかった」とすることで、「排除するための精いっぱいの努力はした、が、ダメだった。」というバックストーリーを連想させ、バカっぽさだけで終わらない強い回答に仕上げています。
すごい回答です。
次いきます。
オープンして3日で潰れた温泉旅館。なぜ?
スパだけにスパらしい温泉ですよーってズン滑り散らかして爆撃された
おそらく初めにあったのは「スパ→スパらしい」というダジャレでしょう。
でも「スパだけにスパらしい」では回答として成立していませんし、中身がダジャレだけでは弱いですから。
「滑った」→「滑り散らかした」→「ズン滑り散らかした」→「ズン滑り散らかして爆撃された」
と強化していったわけです。
「ズン滑り散らかす」という『ない言葉』と、「爆撃された」の唐突さが良い所ですね。
遊園地に遊びに行ってびっくり!何があった?
再入場のスタンプが焼印だったので熱〜と思いながら押してもらってたら、後ろの人はよく来てるのか手にめちゃくちゃ焼印が押されてたし、年パス買えよと思った
おそらく最初にあったタネは「再入場スタンプが焼印」でしょう。
そこに
「熱〜と思いながら」というリアクションの薄さ
「後ろの人はめちゃくちゃ焼印が押されてた」というやばい絵面
「年パス買えよと思った」という冷静さ
を順に足して強化した結果、この回答にたどり着いたと思われます。
焼印、さらには、それがめちゃくちゃ押されているという、出来事のヤバさの大きさに対して、本人の異常な冷静さが際立っていて良いですね。
練習
ということで、今回も練習用のお題を置いておきます。
理由を考えるお題です。
いろいろ浮かんでくると思いますが、思いついたボケをすぐに表に出さず、頭の中で強化してから出すことを意識してみてください。
また、プロの大喜利を見てみることも大いに参考になりますよ。
Posted by 岡竜之介